"FDA compliant packaging" と COA で求められるもの
"FDA compliant packaging" を求められたら
米国向けに食品を輸出する際、現地の取引先や FSVP の代行業者から "FDA compliant packaging"(FDAに適合したパッケージ) の提出を求められることがあります。
このとき、輸出用の貼付ラベル(出荷ラベル)を送っても要求を満たしません。 求められているのは、米国で消費者に販売される小売用パッケージの、完成したデザインデータ(アートワーク)です。
日本のメーカーが「そんな書類は持っていない」と回答されるのはごく自然なことで、日本国内向けの表示しか存在しないためです。米国向けの表示は、新規に作成する必要があります。
求められるもの(1)米国小売用パッケージのアートワーク
一般的に、次の内容が求められます。
表面(PDP/主要表示面)
- 商品名
- 内容量(オンスとグラムの併記)
裏面または側面(情報パネル)
- 原材料表示(重量の多い順)
- アレルゲン表示("Contains 〜" の形式)
- Nutrition Facts(米国式の栄養成分表示。日本の栄養成分表示とは書式が別物です)
- 販売者または輸入者の名称と住所
- 表示はすべて英語
提出形式
「編集可能なPDF」を指定されることが一般的です。Illustrator等から書き出した、文字が編集できる状態のPDFを指します。アウトライン化・画像化されたものは受け付けてもらえません。
また、表面と裏面の2面(側面を使う場合は3面)が揃っていること、ロゴやデザインを含む完成状態であることが求められます。文字だけを並べた一覧表では不十分です。
求められるもの(2)COA(試験成績書)
日本の分析機関が発行するCOAは、米国側が求める項目を満たしていないことがあります。求められる項目は取引先によって異なりますが、次の3区分が挙げられることが一般的です。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 微生物 | サルモネラ、リステリア、大腸菌、酵母・カビ数など |
| 化学/汚染物質 | 重金属(鉛・ヒ素)、残留農薬、水分、pH |
| 栄養成分・アレルゲン | 主要栄養素、アレルゲンの正式な申告 |
分析はできるだけ早く手配してください。 Nutrition Facts には栄養成分の実数値が必要です。この数値は分析しなければ得られないため、分析が終わるまでパッケージのデザインに着手できません。ここが全体のスケジュールを決める律速になります。
なお、栄養成分の分析とCOAの再発行は同じ作業とお考えいただくと効率的です。
求められるもの(3)製造者の許可証
米国側から「メーカーは厚生労働省(MHLW)に登録されているか」と聞かれることがありますが、日本の食品製造業の許可は厚生労働省が出すものではありません。
正しくは、食品衛生法にもとづき、都道府県知事(保健所)が交付する営業許可です。
実務上は、メーカーの営業許可証の写しに英訳を添えて提出する形で対応します。ただし、これで足りるかどうかは先方の求めによりますので、事前にご確認ください。
「業務用(バルク)だから小売表示は不要」は通用しますか
米国のラベル表示には、業務用(バルク)向けの免除規定が存在します(21 CFR 101.9(j)、21 CFR 101.100)。
ただし、この免除の対象は原則として「米国側でさらに加工・再包装・再ラベルされることが前提の貨物」に限られます。
- 1kg入りの袋のまま消費者に販売されるなら、それは小売品です
- Amazon FBA に納品して消費者に販売する場合は、免除の余地はありません
実際の案件でも、「業務用の卸だから免除が使える」という主張が認められなかった事例があります。免除を前提に進めると、後からすべてやり直しになるおそれがありますので、まず「最終的に誰が、どのような形で購入するのか」を確定させてください。
進め方のおすすめ
- 販売チャネルを先に確定する — Amazon等で消費者に売るのか、現地の事業者へ業務用として卸すのか。ここが全ての前提になります
- 分析(COA)を最優先で手配する — 全体の律速です
- 分析結果が出てからアートワークを作成する — Nutrition Facts に実数値が必要なためです
- 営業許可証と英訳を用意する
ご不明な場合
米国向けのパッケージ表示やCOAのご準備について、弊社でもお手伝いできる部分がございます。何から着手すればよいかわからない段階でも構いませんので、チャットまたはメールでお気軽にご相談ください。