IOR・FSVPインポーター・米国代理人(US Agent)の違いと役割分担
IOR・FSVPインポーター・米国代理人(US Agent)の違い
米国へ食品を輸出する際、よく混同されるのがIOR・FSVPインポーター・米国代理人(US Agent)の3つです。これらは根拠となる法令も、担う役割も、まったく別のものです。
そして重要な点として、この3つは別々の会社・別々の人が担っても問題ありません。
3つの役割の比較
| 役割 | 根拠・所管 | 誰がなれるか | 担うこと |
|---|---|---|---|
| IOR(Importer of Record/輸入者) | 1930年関税法/米国税関(CBP) | 所有者・購入者・通関業者。外国法人でも可(米国のボンドを差し入れれば非居住輸入者になれる) | 通関申告と関税の納付、申告内容への責任 |
| 米国代理人(US Agent) | FDA(施設登録) | 米国に所在する法人または個人 | 海外の製造施設のFDA登録における、FDAからの連絡窓口 |
| FSVPインポーター | FSMA/FSVP規則(FDA) | 米国内の所有者または荷受人(いない場合に限り、外国側が米国代理人を指名) | 海外の供給業者が米国と同等の安全基準を満たしているかの検証・記録 |
よくある誤解
「IORと米国代理人を用意したから、FSVPの責任も果たしている」
これは成り立ちません。FSVPは「名前を出す」ことではなく、中身(供給業者の検証を実際に行い、記録を残していること)が要件です。
FSVPインポーターは誰でも指名できるわけではありません
FSVP規則(21 CFR 1.500)は、誰がFSVPインポーターになるかの判定順を定めています。
- 米国入国時点で、その食品を所有している、または購入している(購入契約が成立している)米国内の者 → この人が自動的にFSVPインポーターになります
- 米国側に所有者・荷受人がいない場合に限り、外国側(日本の製造者など)が、米国代理人を署名同意つきで指名して充てることができます
つまり、「誰が米国入国時点で商品を所有・購入しているか」で決まります。
取引の形が変わったら、判定をやり直してください
| 取引の形 | 判定 |
|---|---|
| 米国の買主が入国時点で商品の所有者 | その買主がFSVPインポーターになります |
| 米国側に買主がおらず、日本の製造者が自社在庫として送るだけ | 署名同意つきの米国代理人の指名が必要になります |
Amazon FBAへの納品のように「米国側に買主がいない」ケースは、とくに注意が必要です。
実務でいちばん多いミス
通関申告(ACE)には、FSVPインポーターを記載する専用の欄(FSVコード)があります。
IORと通関業者が同じ流れで手続きするため、FSVPインポーター欄にも誤ってIORの名称が入ってしまうミスが起こりやすいところです。
これをしてしまうと、FDAの記録上は「IORがFSVPインポーターである」ことになり、実際には検証も記録もしていないため違反状態になります。
IORとFSVPインポーターが、別々の欄に正しく分かれて入っているか——ここは必ずご確認ください。
「荷物が届いた=問題なし」ではありません
FDAは、すべての輸入貨物を入国時にFSVPの観点でチェックしているわけではありません。後日のFSVP査察(記録の請求・監査)で確認します。
そのため、FSVPの中身がなくても荷物自体は届いてしまうことが多いのですが、それは違反状態が続いているだけです。査察で記録がないと判明すると、次のような措置につながります。
- 警告書(Warning Letter)
- DWPE(検査なしでの自動留置) — 以降の貨物が止まります
- 輸入拒否
「これまで問題なく届いていたから大丈夫」という判断は危険です。
FSVPはいつから始まった制度ですか
- 最終規則の公表:2015年11月
- 遵守(コンプライアンス)の開始:2017年5月30日から
ただし開始日は一律ではなく、供給業者の規模や品目によって段階的に適用されています。
ご不明な場合
どなたがどの役割を担うべきかは、取引条件(誰がいつ所有権を持つか)によって結論が変わります。個別にご相談いただくのが確実です。チャットまたはメールでお気軽にお問い合わせください。担当者よりご案内いたします。