原産国が日本でも高い関税がかかる理由(Section 232 派生品)
原産国が日本でも、高い関税がかかることがあります
「原産国は日本なのに、これまでと同じ商品なのに、今回だけ関税が非常に高い」——米国向けの発送でこうしたご相談をいただくことがあります。
多くの場合、原因は米国の Section 232(通商拡大法232条)にもとづく、鉄鋼・アルミの「派生品(derivative products)」への追加関税です。
何が起きているのか
Section 232 の追加関税は、原産国とは別の観点で課される制度です。日本原産と正しく申告されていても、次の条件に当てはまると追加関税の対象になります。
- その商品が、鉄鋼またはアルミの派生品リストに掲載されている品目である
- 使われている金属の溶解国(country of smelt)・鋳造国(country of cast)が、追加関税の対象国である、または不明として申告されている
とくに注意が必要なのが 2 です。溶解国・鋳造国が「不明」として申告されると、自動的に最も高い税率の区分が適用される運用になっています。原産国が日本と申告されていても、この区分に入ってしまえば高額の関税が発生します。
「今まで同じ申告だったのに、今回だけ高い」理由
米国の制度は継続的に改定されています。2026年4月6日には Section 232 の適用が拡大され、対象となる派生品の範囲が広がったほか、課税の基礎が「金属の含有分」から「通関価格の全額」へと変更されました。
このため、同じ商品・同じ申告内容でも、通関した時期によって関税額が大きく変わります。「前回はこの金額だった」という比較だけでは、税関に対する反論としては通りにくいのが実情です。
どうすれば防げますか
溶解国・鋳造国を毎回申告する
金属を含む商品を米国へお送りになる場合は、アルミ・鉄鋼の溶解国と鋳造国を、インボイスに明記して申告することが最も有効です。「不明」として扱われることを避けられます。
メーカーから、素材の溶解国・鋳造国を示す証明書(レターまたはミルシート/材料証明書)を入手しておくと、通関時の裏付けになります。英文があると理想的です。
品目が派生品リストに該当するか、事前に確認する
商品のHSコードが Section 232 の派生品リストに該当するかどうかは、事前に確認できます。該当する場合は、上記の溶解国・鋳造国の申告が必須とお考えください。
品目ごとに正しく分けて申告する
複数の品目を1つの荷物でお送りになる場合、金属を含まない品目まで追加関税の対象として処理されてしまうことがあります。インボイス上で品目ごとにHSコードを分け、数量・金額を明確に記載しておくことが、誤った課税を防ぐうえで重要です。
高額な請求が来てしまった場合
まず通関書類を確認します
米国の通関書類(Entry Summary / CF7501)を取り寄せると、どのHSコードで、どの税率区分が適用されたのかを確認できます。関税額の内訳がここで判明します。
訂正を申し立てることができます
適用内容に誤りがあると考えられる場合、運送会社や通関業者を通じて申告内容の訂正(Post Summary Correction/PSC)を求めることができます。
ただし、次の点はあらかじめご了承ください。
- 最終的な判断権は米国税関(CBP)にあり、訂正が認められるか、還付が受けられるかは保証できません
- 訂正には、溶解国・鋳造国の証明書など裏付けとなる書類が必要です
- 申し立てには期限があるため、請求内容に疑問を感じたら早めにご連絡ください
ご不明な場合
お取り扱いの商品が Section 232 の対象になりうるか、どのような書類を用意すればよいかは、商品によって判断が分かれます。個別にご相談ください。チャットまたはメールでお気軽にお問い合わせください。